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タイトル: 腸内細菌パターンに影響を及ぼす因子の探索
著者: 瀬浦, 崇博
発行日: 2020/03/20
抄録: 近年の研究により,腸内細菌叢が生活習慣病の発症やメンタルヘルスの変化などに深く関与することが明らかとなってきた.腸内細菌叢は食事の影響を受け,加齢によって変化する.しかし,日本人の食習慣は諸外国と異なる特徴をもつことに加え,高齢者以外の日本人の腸内細菌パターンは明確に示されていない.このため,様々な年齢層の日本人における食習慣とストレス状況を把握し,腸内細菌叢との関係を明らかにすることが重要である.本学位請求論文では,若年日本人を対象とした横断研究を実施し,腸内細菌パターンを明らかにし,そのパターンの違いに影響をおよぼす栄養素およびストレスとの関係を明らかにすることを目的とした. 若年日本人61名を対象とした横断研究において,主成分分析法により腸内細菌パターンがBifidobacteriumとLactobacillalesを多く含むパターンおよびBacteroidesを多く含むパターンに分類されることを見出した.両パターンの間には食物繊維,きのこ類,豆類の摂取量およびストレス指標である唾液コルチゾール値が異なることを明らかにした.以上の結果より,若年日本人の腸内細菌パターンの形成には食事とストレス状態が関与する可能性が示されたことから,日本型の食事形式と腸内細菌パターンとの関係について解析した.日本食スコアに基づいて対象者を分類した結果,日本食スコアの高い群ではBacteroidesが多く,日本食スコアの低い群ではPrevotellaが多いという,食事形式の違いによって腸内細菌パターンが異なることを明らかにした.特に,日本食の主食となるめしの摂取量がPrevotellaの占有率に影響をおよぼすことを見出した. 栄養素摂取量と腸内細菌パターンとの詳細な関係を明らかにするため,若年日本人28名を対象とした横断研究を実施したこの研究においても,若年日本人の腸内細菌パターンは上記と類似の2パターンに分類された.食物繊維の摂取量が腸内細菌パターンに関係しており,豆類の食物繊維摂取量とBifidobacteriumが,きのこ類の食物繊維摂取量と Clostridium cluster IVが正の相関関係を示すことを見出した. 本研究により,若年日本人の腸内細菌パターンが二つに大別され,諸外国の腸内細菌パターンとは異なることを明らかにした.さらに,腸内細菌パターンはストレス状況と食事と関係しており,日本食型食事および食物繊維の供給源となる食品の摂取量の影響を受ける可能性を明らかにした.本研究の知見に基づき,食事によって腸内細菌パターンを好ましいパターンに制御することにより,健康の維持増進に繋がることが期待できる.
内容記述: 人文課第38号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201k113
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/583
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