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タイトル: 電離気体プラズマのアンテナ応用に関する理論構築と実験検証
その他のタイトル: Theoretical Construction and Experimental Verification of Antenna Applications using Gaseous Plasma
著者: 内藤, 皓貴
発行日: 2020/01/31
抄録: 本論文は、電離気体プラズマのアンテナ応用として、プラズマアンテナおよびプラズマクローキング(電磁波の散乱抑制)技術について、理論解析、数値解析および実験検証を行った研究(以下、本研究と呼称する)をとりまとめたものである。まず、第1章で、研究の背景について説明している。本研究が対象とするプラズマアンテナおよびクローキング技術について、従来研究を俯瞰しながらその特徴や課題について論じ、本研究の学術的意義と産業応用への可能性を明らかにするとともに、本研究の目的を示し、本研究全体の方向付けを行っている。次に、第2章で、プラズマと電磁波の間に相互作用がないという条件のもと他励式プラズマアンテナの放射特性を理論的かつ実験的に論じている。プラズマおよびアンテナ理論から導かれる解析式とFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いた電磁界解析によって、放射特性とプラズマパラメータの関係を評価し、プラズマアンテナの放射特性が、電子の弾性衝突周波数とプラズマ断面の総電子数との比、および電磁波の周波数とプラズマ断面の総電子数との比の2つのパラメータで決まることを明らかにした。また、他励式プラズマアンテナを試作し、実験結果と理論解析結果との定量比較を行うことによって、以上の評価の妥当性が示されている。第3章では、プラズマと電磁波の間に相互作用がある自励式プラズマアンテナについて、特に自励式で代表的に用いられる表面波励起プラズマアンテナの放射特性を理論的かつ実験的に論じている。プラズマと電磁波の相互作用を考慮するため、第2章で用いたFDTD法にボルツマン方程式および拡散方程式を組み込み、放射特性とプラズマパラメータの関係を計算し、プラズマが放電管端部に未達の場合には入力電力は主にプラズマの体積増加に消費され電磁波の放射が少なく、一方、プラズマが放電管端部に到達した後は入力電力が電子密度および電磁波の放射増加につながり、プラズマがアンテナとして振舞うことを明らかにした。また、自励式プラズマアンテナを試作し、実験結果と理論解析結果との定量比較によって妥当性を示すとともに、金属アンテナとの比較によって、プラズマアンテナの長所と短所およびその活用法について述べている。第4章では、表面波励起プラズマアンテナの動作原理、特に表面波プラズマの従来研究と第3章で得られた結果の相違点を解明することを目的に、表面波励起プラズマアンテナの放射特性の解析的な定式化に取り組んでいる。従来の表面プラズマとの違いとして放電管の有限性に着目し、従来の表面波プラズマの理論を放電管が有限の場合に拡張することで数値計算の結果を再現することに成功した。また、定式化した解析式を用いて、表面波励起プラズマアンテナでは放電管端部にプラズマが到達することで後進波が発生し、その結果生じるプラズマの抵抗成分の減少とアンテナの放射抵抗の増加の相乗効果によってアンテナ利得が増加し、表面波プラズマがアンテナとして動作することを明らかにした。第5章では、クローキング媒質としてのプラズマの有用性検証を目的に、特にそこに内在する電子と中性粒子との間の衝突性に着目し、クローキング技術の一つである散乱相殺へのプラズマの適用性を理論的かつ実験的に論じている。散乱理論に基づく理論解析では、散乱長のプラズマパラメータ(電子の弾性衝突周波数、電子プラズマ周波数)依存性を二次元表示することにより、Tonks-Dattner共振と散乱相殺の関係を明らかにするとともに、衝突性プラズマでも散乱相殺が可能であることを示している。また、FDTD法を用いた電磁界解析により、プラズマ中に誘起される電流による散乱相殺の発生、および散乱相殺の非共振性を明らかにするとともに、実験的に数値計算の結果が再現されること、および電磁波の錯乱が最大8dB抑制されることを実証した。最後に、第6章では、本研究で得られた成果を総括するとともに、本研究が契機となって広がる学術領域と望まれる工学的進展について述べている。
内容記述: 工課第16号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201k112
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/575
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